恋して、チェリー


「すげーじゃん、1ヵ月って」

「お前どこまで魔性なんだよ」



そんな声が下から聞こえてきた。


1ヵ月……?

そういえば、アイツと胡桃ちゃんが付き合った期間だ。


やたらと覚えのあるワードに敏感になってたオレは、首をギリギリまで傾けて下の様子を伺った。


このカフェ、【Red Cherry】の西側には細い脇道がある。

つっても、この辺は店が密集してるから別に珍しいことじゃない。



見えない、見えない、あとちょっと……。


妙な胸騒ぎを覚えたオレは、音を立てずにイスごと移動した。


今思えば、なんであんなに気になったのか。


オトコの勘ってヤツかな。


眼下に広がった薄暗い視界の中、見覚えのある顔が映った。




――カチッ


反射的に、ポケットに入れたケータイのムービーをonにした。


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