【短】君想い


夕陽と帰る生徒が良く見える屋上で、純はしゃがみ込んでいた。

「やべぇ…俺こんな緊張したことないぞ!!」

深呼吸を繰り返す純に私は苦笑いを浮かべた。


『純!凛ちゃんが待ってるよ?』
「分かってるんだけどよぉ…」
『ほら純!!しっかりしなきゃ!!!』

私が背中を叩くと、渋々純は立ち上がって歩き始めた。

…これが最後。
私の気持ちも忘れよう。

だから、、だからさ、最後に一度だけ…

『純っ!!』
「ん?、、おっ!」

私は純にギュッと抱き着いた。

「蒼依?」
『大丈夫だよ純なら、、ちゃーんと伝わるよ?』
「…あぁ」
『大好きだから応援してたんだよ!!だからちゃんと気持ちぶつけるんだよ!!!』

私はギュッともう一度抱きしめてから背中を叩いた。

『行ってこい藤原純!!!』
「おう!!」

純にはいつもみたいな私の大好きな笑顔が戻っていた、、

「ありがとーな蒼依!!俺もお前が好きだぞ!!幼なじみで良かった!じゃあな!」

笑顔の純はパタパタと走って行った。
屋上の扉がガチャリと閉まるのが合図のように涙が溢れ出した。

『ははっ、、好きだってさ…!』

友達以上恋人未満。
純と私はこれだったんだ。

幼なじみが壁だったんだ。
勇気がでなくて、その壁が越えられなかった。


仕方ない、、私は純が幸せで居てくれたら…それで良い、、!

『絶対幸せになれーーっ!!!』

私は空に叫んでから、頬を流れる涙を拭いて立ち上がった。

大丈夫、今は辛いかもしれない
だけどいつか綺麗な思い出になる
悔いはない。
自分が決めた道だから…!!

ただ、、この気持ちは忘れないよ…

君が大好きでした。
だから幸せになってください…!!
毎日、笑顔でいてください…!!

私がもう一度下を見渡すと、寄り添うように歩く2つの陰が見えた。

『大好きだったぞ…バイバイ、、』


私はその姿に呟いてから屋上を後にした。



       終




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