REAL HOPE Ⅰ



「おい。」




低く響いた声が私の表情を完全に止める




「おい」



「……」



なかなか返事をしないハルマのせいで部屋には沈黙がはしる




「お前に言ってんだよ。」



「あ…あたし?」




視線を向けた私をレツが鋭い瞳で睨み付ける



私に言ってたんですか?

名前呼ぶとかしないと分かんないし



「ぜってぇに街に近付くな、」



その目があまりに真剣だから、私ははぐらかすしか出来なくて



私にとって唯一の居場所であるあの街にこんな男の発言で行けなくなるなんて馬鹿馬鹿しくて



私は鞄を取ると静かに立ち上がった。



「ジュンちゃん?」


「帰る。」



それだけを言って出入口に歩きだす私をハルマが小走りで追いかける


「送るよ!」



帰りぎわドアを閉める時に見えた奴の顔があまりに冷たくて、冷めている私の心の方がレツよりいくらかましなような気がした





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