REAL HOPE Ⅰ
車内はやっぱり曲がかかっていなくて
「……」
レツはどこに行ったのか。怖い面の兄ちゃんと私の二人っきり
「寒くないですか?」
いきなり話し掛けられてビクリと肩が震えたけど、
ミラー越しに写る兄ちゃんの目が意外にも優しく細められていてギャップを感じる。
「平気です…」
車内はあらかじめ暖められていたのか、全然寒くなんてなくて
この人の優しさなんだと感じる。
「……」
会話は一言で終わってしまい、意外とこの人怖くないんじゃないかと思い出した私は口を開いた。
「あの…今日はこれからどこに行くんですか?…」