夏の夢・夏の香り・私のトナリ
「お帰りなさい」
母が、台所から顔を出した。

「ただいま…」


リビングへ入るとカレーの匂いが俺の鼻をくすぐり、お腹は空腹の合図を鳴らした。

「はらへった…」
ポツリと呟くと、母は笑いながら「ちゃんと手を洗って来てからね」と一言。


俺は洗面所へ向かって手を洗いながら、草原で見つけた丸い玉を思い出した。

ポケットから取り出すと、少し汚れているのが分かった。

丸い玉を洗って、タオルで拭いてみると、先程より輝きが増したような気がした。


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