沈黙の天使
第11章 悲しい希望
「それって…絵美ちゃんに人殺しになれって言うこと?!」
発狂とも呼べる程の甲高い声を出して薫が叫んだ。絵美の表情は変わらない。絵美が内心どう思っているのか、薫には到底解るわけがないのだ。
「俺は死にたい。
何千年も生きて来て、世の中を見て廻って。人が死ぬと哀しむものがいる。
人が生まれると喜ぶものもいる。俺は死ねない。
死んでも哀しむものもいない。
ミアに一目会って子供に殺してもらう、このためだけに生きて来たんだ。俺の生きる希望は死ぬことなんだよ」
ケイにははっきりと、寂しげな表情をする絵美が見えていた。しかし、それ以外生きる希望など無かったのだ。
『あたしはそんなこと出来ない…』
当たり前の台詞を吐く絵美。
リビングへ移動して来ていた三人は、じりじりと室内を照らす太陽の光を浴びながら少し汗ばんでいた。
ケイは向かい側に座る二人を虚に見てから、腕を枕にテーブルに突っ伏した。
「そうだよなぁ…。普通はそんなこと出来ないよな…」
少しくぐもった声が聞こえた。
「結局はあなたたちの恋愛沙汰に巻き込まれただけだったのね」
薫が宙を見て呟く。
「すまない。全ては俺の我が儘から始まったんだ。俺のせいなんだ…」
薫のほうを見て喋るが、薫は宙を見たまま視線を合わせるそぶりは見えない。
だが、ふっと諦めたような笑顔を見せた。
発狂とも呼べる程の甲高い声を出して薫が叫んだ。絵美の表情は変わらない。絵美が内心どう思っているのか、薫には到底解るわけがないのだ。
「俺は死にたい。
何千年も生きて来て、世の中を見て廻って。人が死ぬと哀しむものがいる。
人が生まれると喜ぶものもいる。俺は死ねない。
死んでも哀しむものもいない。
ミアに一目会って子供に殺してもらう、このためだけに生きて来たんだ。俺の生きる希望は死ぬことなんだよ」
ケイにははっきりと、寂しげな表情をする絵美が見えていた。しかし、それ以外生きる希望など無かったのだ。
『あたしはそんなこと出来ない…』
当たり前の台詞を吐く絵美。
リビングへ移動して来ていた三人は、じりじりと室内を照らす太陽の光を浴びながら少し汗ばんでいた。
ケイは向かい側に座る二人を虚に見てから、腕を枕にテーブルに突っ伏した。
「そうだよなぁ…。普通はそんなこと出来ないよな…」
少しくぐもった声が聞こえた。
「結局はあなたたちの恋愛沙汰に巻き込まれただけだったのね」
薫が宙を見て呟く。
「すまない。全ては俺の我が儘から始まったんだ。俺のせいなんだ…」
薫のほうを見て喋るが、薫は宙を見たまま視線を合わせるそぶりは見えない。
だが、ふっと諦めたような笑顔を見せた。