沈黙の天使
第2章 哀しみの序曲
うっすらと開けた絵美の視界には、古ぼけた天井が見える。
コンクリートにも見える、シンプルな天井。
ゆっくりと見回すと、大きな窓。
周りから遮断されているように掛かるクリーム色のカーテン。
そして頑丈なベッドに横たわる自分。
病院だった。
ゆっくりと上半身を起こして、今一度周りを見る。
近くにあったテーブルの上には小さな花瓶にかわいらしい花が活けられている。
いまいち自分の状況が把握できない絵美はゆっくりと記憶を辿る。
誕生日。
祖母。
母。
羽根……。
「い、嫌、嫌…」
自分の意思で動く羽根。
零れる羽。
「いやぁぁぁ!」
頭を抱える腕。
後退りをする体。
その足で布団を蹴落とし、ベッドを勢いよく揺らし、近くにあった花瓶が落ちる。
壁にぶつかる背中は、落ち着くばかりか、より一層撹乱させる。
叫び声を聞いて看護師が走り込んで来るまでは、そう時間は掛からなかった。
コンクリートにも見える、シンプルな天井。
ゆっくりと見回すと、大きな窓。
周りから遮断されているように掛かるクリーム色のカーテン。
そして頑丈なベッドに横たわる自分。
病院だった。
ゆっくりと上半身を起こして、今一度周りを見る。
近くにあったテーブルの上には小さな花瓶にかわいらしい花が活けられている。
いまいち自分の状況が把握できない絵美はゆっくりと記憶を辿る。
誕生日。
祖母。
母。
羽根……。
「い、嫌、嫌…」
自分の意思で動く羽根。
零れる羽。
「いやぁぁぁ!」
頭を抱える腕。
後退りをする体。
その足で布団を蹴落とし、ベッドを勢いよく揺らし、近くにあった花瓶が落ちる。
壁にぶつかる背中は、落ち着くばかりか、より一層撹乱させる。
叫び声を聞いて看護師が走り込んで来るまでは、そう時間は掛からなかった。