葵街学園記
一見平凡そうに映る鏑木律も彼女なりの理由でここにいるという事だ。
高世はそんな風に考え、それでも唐傘をくるりと回すと律に言葉を放つ。


「君のようなスイーツかっこ笑いな女と馴れ合うつもりは無いんだ。馬鹿でもチョンでもこれくらいはわかりたまえよ」


言葉さえ無ければ花のように可憐で美しい笑みを浮かべた少女は、そう言って律の前から去ろうと背を向けた。


「やっぱりあんまり意味が分からない……けど、とりあえず私の『限界』の話をしておくね」


ぴたり、と高世は足を止めた。

「私はね、何でも暴力でしか考えられないの。貴女がそうして言葉に頼るのと同じように、私は何もかもが暴力に繋がるの」
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