中途半端なオトコマエ!
「じゃ、キミのためだけに、歌おうか?」

「そうしてくれるの?」

小さめの声で「サクラサク」のサビを歌う。

「いいわね。思い出す」

「もっと、聴きたい?」

「うん。もっと」

オレは、賭けに出た。

成功すれば甘美な時、失敗すれば「オオカミ」の汚名を着せられるかもしれない、賭け。

「おいで」

オレは、美沙に背を向けて、歩き出した。

「どこに行くの?」

黙って歩いた。美沙はついてきた。

賭けの半分は成功。

駅前ライブは今日は、おしまい!

って、ライブどころじゃないんだよおおお!
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