人の恋を笑うな
『なっちゃん、乙女ちゃん、カルピス入れたからもうおやめ』とおばあちゃんが笑いながら言った

私達は我に帰ってお互いの席に着き、カルピスを無言で飲んだ


『なっちゃんはカルピスでご飯かけて食べるし、乙女ちゃんは野菜サラダにカルピスかけて食べてたんだよね、懐かしいね』おばあちゃんは笑う


『あんた達が喧嘩してる間に日取り決めたわよ。…ったくみっともない』とお母さんが舌打ちした


『うちは親戚こんなもんですな』とお父さんがだいたいの名前をかいた紙を社長に渡した


『うちは親戚は少ないんですが仕事関係、交遊関係が少し多いかもしれません。あと式場はこちらで決めさせてもらっていいでしょうか?』


『ああ、かまわんですよ。細かい事は任せます。あの…ホントにこの子で大丈夫ですか?』とお父さんが不安そうに聞いた

『乙女さんじゃないと…ダメなんです…』と社長が言った


『武人さんは乙女ちゃんにドレスきせたいかい?着物かい?』とおばあちゃんが急に聞いてきた


『着物…です。彼女の白無垢姿がみたいです』社長の顔は真っ赤だった


意外に着物フェチ?


『武人さん、乙女も夏子も変わり者でね。ホントにびっくりしてると思うんですよ…夏子は芸術肌で昔から一人で我が道を行くタイプ、だからリーダーとしていつもトップにいた子なんです。隼人さんとは特別気が合うようで、よかったと思います

乙女は夏子以上に変わってて、人とつるむわりにはふらりと一人になりたいって家出したり、夢中になることできると部屋に引きこもって、それが終わるまででてこない子だったんです

でも二人とも大事な娘です、とくに乙女は何もできない娘ですがよろしくお願いします』


お母さんは深々と頭を下げた


『お母さん、乙女さんは人間としても、女としても、魅力的な人です。僕のような頑固で偏屈な男についてきてくれるんですから…必ず幸せにします

隼人も夏子さんの事は深く愛してます。ああ見えて仕事も出来て、頼られて会社にも認められてます。きっと夏子さんを幸せにします』


お母さんとお父さんは泣いていた
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