人の恋を笑うな
日曜日、私達は私の実家に帰ってきた


居間では長いテーブルが用意されていた


これは大事な来客用の時にだすテーブルだ


テーブルをはさんで、向こう側に家族が全員座った


『今日は突然お邪魔してすみません』と社長がしゃべり始めた


『この前は慌ただしく帰って、挨拶なしの数ヶ月でしたが…3月の始め、乙女さんにプロポーズしました

僕の仕事が忙しくなると結婚式が延び延びになってしまうので、スケジュールの空いてる6月に式を挙げようと二人で決めました。急ではありますが、今日はその事で話し合おうと思い、こちらにまいりました』


『ジューンブライドね。いいじゃない。さすがお兄さん』と夏子ははしゃいだ


『なんだい、なっちゃん。そりゃ』とおばあちゃんは聞く


『6月に結婚すると幸せになれるって外国では言われててそれが日本でも流行りだしたのよ。ラブちゃんの時代にはそんなのなかったろうけど』と夏子は笑った


『縁起がいいんだね、それはいい。なっちゃんはいつにするんだい?』


『うふふ、知りたい?ラブちゃん?』


『ばあちゃんに教えて』


『私は秋くらいかな。ハワイで挙式してくるの』


ええ!何いってんだコイツ、ハワイで二人っきりプランってやつかい?!

『ちょっと夏子、お母さん達何も聞いてないわよ』

『そうよ夏子、今日はうちがメインなんだからね!』


『日本では披露宴するけどね。5月の連休に隼人さんが話しにくるわ、詳しくね』


『だったらその時しゃべりなさいよ!』と私は怒鳴った


『なによカリカリしてさ、1月はヒッキーして泣いてたくせに!』


『ここでいうことじゃないでしょ!』


『行きたくても会社行けないのよ〜なんて泣いてたの誰よ!』と夏子が笑った


『社長の前で言うな!』


私達は立ち上がって、また取っ組みあいの喧嘩になった


『指に何かしたら裁判所に訴えてやる!』


『嫁入り前の身体に何かしたらピアノの鍵盤剥がしてやる!』



『いつものことなのよ、武人さん…10分くらいでおさまるから』


『あ…はい』


夏子の野郎!
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