人の恋を笑うな
『ところであんたがうちにくるなんて珍しいわね。お母さん達と喧嘩でもしたの?』


『まさか、ちょっと気分転換よ。たまには東京行きたいなって…』


だったら友達の家にでも行きゃよかったのに…


『そこのソファー、倒すとベットになるから使って。必要なものは持ってきてるんでしょう?』


『うん、まあ連休の間だし。どこか美味しい店に食べに連れてってくれる?』


『いいわよ。茂徳の彼女が働いてるレストラン、すごく美味しいから晩御飯はそこにしようか?』


『茂徳さんの彼女?会ってみたいな。じゃあお昼は私が何かつくるから』


と夏子が冷蔵庫を開けた!


『お姉ちゃん…缶ビールとミネラルウォーターしか入ってないじゃない!料理なんてしてないんでしょ』


『サラダくらいは作れるわよ。あとはさ、スーパーの惣菜買ってきたらいいだけじゃん』


『そんなとこお母さんにそっくりなんだから!いいわよ、私が作るから…近くのスーパー教えて』


めんどくさいな…夏子は家庭的で料理が美味い。こんな子がまだ結婚してないなんてね…恋愛にきっちりしてるのも、結婚には向いていないのだろうか?


それとも私達姉妹は、結婚というものから見放されているのだろうか?


スーパーで健気に買い物をする夏子を見ながら、私はつくづくそう思った
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