ボスの思い

田中室長side




電話を切った後、
珈琲を飲みながら一息付く。



美雨が元気そうで安心した


「美雨と知り合って…
もう10年か」


あっという間だった気がする


こう感じるのも年のせいか?

苦笑いしながら
昔を思い出していた。



知り合った頃の美雨は
ハタチだった。


当時は、今の事務所を立ち上げたばかりで…

仕事をもらう為、
海外へも足を運んでいた。


今、思うと無茶な事をしたもんだ…


いろんな事務所に
アポなしで押し掛け、
「仕事をくれ」と
頭を下げて回っていた。



ある日、
押し掛けた事務所に
美雨と由美が働いていた。

事務所側は、
突然来た奴など信用出来ないと門前払いだったが、

そんなやり取りの中
二人は大爆笑しながら

「知らない所に飛び込んでくるガッツを持った人はなかなか居ない!
きっとイイ仕事をするはずだ」と事務所側に掛け合ってくれた。


その時の仕事の評価が良く
口利きで、いくつかの取引先も決まり仕事が軌道に乗った。






< 18 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop