鼓動より速く

5.詩

家のチャイムが鳴った。調度、家を出ようと思って、扉を開けると、ハルカが立っていた。

「ハルカ!?え!制服?」
「当たり前だよん!早く中学校に行こうよ」

不思議な感じだ。
ハルカが学校という単語を発している。そして、ボクを呼びに・・・・。
不登校児に何があったんだろうか?
しかも、この満面の笑みはどうしたんだ!?ずっと、笑っている!
頭を何処にぶつけたか、おじさんに変な注射を打たれたか、どっちだろう?

「ねぇ、早く行こうよミノル君〜」
「分かってる!行くよ」

急かされるように家を出て行く。ボクらは、まだ馴染まない制服に苦戦しながら、並んで歩いた。
二人で登校なんて、何年ぶりだろうか?
隣のハルカは「あ、桜だよ」「今日、雲、少ないね」「スズメって、カワイイね」とか、また自由に生きている。

閉鎖された空間で生きると、このように育つと、実感した。
身体もか弱そうで、小学生が無理して、制服を着ているみたいだ。
まぁ、それを言ってしまうと、ボクも小学生が背伸びをしているだけに見えるだろう。

「ミノル君」
「何?」
「久しぶりだよね。二人で外を歩くの」
「・・・そうだね」

ハルカも自由人ながら、気付いていたらしい。

「・・・」

ハルカに言われてから急に恥ずかしくなった。
他の生徒も通る通学路に来るとさすがに、ハルカとは距離を取った。

「ん?どうしたの?」
「いや、恥ずかしくないの?」
「何処が?ミノル君、変なの〜〜キャハ」

キャハって・・・・。
恥ずかしくなるのが、間違いなのか?
いや、違う。明らかにボクらは注目されている。
ハルカのバカデカイ声のせい? ボクらの幼さ?
理由はどうあれ、恥ずかしい。
「ミノル君ん!早く学校に行きたいよねー走る?」
「走らないよ。知ってるだろ?」
「二秒だけ!一秒だけ!ね?ね?ねぇ〜〜〜」
「分かったよ。一秒ネ!絶対に一秒ネ!」
「やった〜!よーい!ドン!」

ボクらは、走った。
ハルカが導き、ボクが続く。
一秒という約束だけど、ボクは学校まで走っていた。

「スゴイ〜〜!ミノル君、こんなにも走れるんだね。〜知らなかったよ」
「一応、鍛えているから・・・・・」

トクン。トクン。トクン。

ガラクタが!?
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