すれ違い続けて
美九がきつく目をつむりながら言う。

「拓は、今日は家の用事だって言ったんだよ?だから芽衣とこうして2人でいたのに…。なのに女の子といたなんて!!」

そう言って、美九はまた泣き出してしまった。

「先輩に頼まれて仕方なく…」
「頼まれたら女の子と遊びに行くんだ?」
「ちがくて…」
「汰衣夢くんも拓くんには美九がいるんだから、断れたよね?なにしてんの?」

困った顔をする汰衣夢くんに言う。

「しかも、なんでここに本人が来ないわけ?普通拓くんいるはずだよね?」
「あいつも反省してんだよ!今日の事、すごい後悔してる。あいつ、俺んちで泣いてんだよ!」
「っ…。美九、もう帰る…」
「待てよ!拓の話も聞いてやって…」
「聞きたくなんかないよ!!」

美九は走って行ってしまった。
公園には、悲しそうにうつむく汰衣夢くんと、そんな汰衣夢くんを睨む私だけ。

「汰衣夢くんが…そんな人だなんて思わなかった…」
「芽衣ちゃん…」
「美九の事泣かせるなんて許せないよ。汰衣夢くんって、ああやって女の子とチャラチャラ遊んで歩くんだね」
「違うんだ!芽衣ちゃん!」
「はなして!」

汰衣夢くんが掴んできた手を振り払う。

「もう…帰る」
「芽衣ちゃん!!」

私は、溢れそうになる涙を堪えながら家へ帰った。
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