second〜切ない恋の物語〜
野上さんは、車で通っていて、

私を駐車場まで案内してくれた。



車は、スカイライン。

彼氏にはワゴン車に乗っててほしいと思う私には、

少しだけ残念だった。

車のドアを開けると、いい香り。

甘い甘い香り。

よく香水にありそうな匂い。



カーステから聞こえるのは、尾崎豊。

「尾崎が好きなんですか?」

「うん、まぁよく聞くかな。歌詞がすごく好きなんだよね。」

「へぇ〜」

「興味ない?」

「あんまり聞かないから、分からないです。」

「何を聴くの?」

「ドリカム。後はTSUTAYAへ行ったら、新曲コーナーの端から端まで借りるタイプです。」

「はははっ!いるいる、そういう人!大人借りってやつね。」





信号は赤。

胸ポケットから、タバコを取り出し

慣れた手つきで火をつける。

スーっと、小さな息が漏れる。

セブンスターを吸うんだ…



きなこプリン

スカイライン

尾崎豊

セブンスター




知らなかった野上さんの情報が、

私の頭の中にインプットされていく。
< 21 / 200 >

この作品をシェア

pagetop