second〜切ない恋の物語〜
小走りで車に戻った野上さんは、

運転席に座ると同時に私に謝った。

「悪い!急用が出来たんだよ。」

「え…」



正直、ガッカリ。



「埋め合わせ、必ずするからね。」

「はい。」

「家まで送るよ。」

「はい。」

「怒ってる?」

「…はい。」

はいしか言わない私に、野上さんは困ったみたい。

さっき買ったばかりのガムを一つ抜き取って、

残りを私にくれた。

「家どこ?」

そう言いながら、野上さんは、

私の指示通り、車を走り出した。




お願い。

渋滞していて。

一秒でも、野上さんの隣にいさせて。
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