青いリスト
彼女達は出勤時間と退勤時間を、メモ帳に取るだけで、悪に爆弾を落とす事が出来た。
だが出来なかった…
法に触れているなと分かっていながら、それを怠ったのは、やはり必要とされた時の喜びの方が大きかったからだ。
現代社会の風潮も極めて酷い。
勝ち組、負け組、男女平等、女性の自立、これらの言葉を放つ事により、悪の背中を後押しする…言葉というのは、良い意味を持つものは掻き消され、悪い意味の方だけ転用される。
被害者になるのはいつも弱者の方だ。
悲痛そうな表情で[自殺者が去年を上回りました]というアナウンサーの表情の裏に現代社会の真実がある。
自殺者をグラフで描かれた図表に、一人一人の命の軽さが伺える。
心療内科の長い待ち時間が、社会と自分との距離を表す。
障害者手帳が悪の罪を洗う。
[あなたがそうなったのは私には関係ない]
全て個人の責任となる社会の中で、はみ出した行動を取れば非難されるのは何故か?
周りの人間は、付かず離れずの姿勢で存在するのが現実なのに、個人として生きて行く方法を教えないのは何故か?
私は大きな矛盾をごまかしながら生きている大人達より、社会から追放されたヒナの方が余程人間らしいと感じている。
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