青いリスト
一度死のうとギリギリの淵に立った私は、もう一度社会に出る事にした。
死者の声が背中を押してくれたのだ。
あの時、聞いた言葉は私の心にゆるぎない信念と、悲観的な心をプラスにする活力を与えた。
以前の私なら社会の現実の前に立ち尽くし、すぐに悲観的になり、憎悪の念を抱いた。
だが、現代は違う。
私は一度死んだのだ…
生まれ変わったのだ…
だから現世がどうなろうとどうにでもいい…
大きく言えば、欲望が無くなったのだ。
欲望とは社会や他人に求める欲望である。
裏切りを目の当たりにしても何も感じなくなった。それは無感動という事ではなく[あぁ…人間だな…]という全肯定的な考えである。
厳密にいうと自分を第三者のように傍観しているという事だ…
私は私ではない…私が傷つけられても、それは私ではない…
もう一人の私が失敗しても遠い空から本当の私が見て笑っている。
[お前も人間だなぁ]
と笑っている。
弱者をイジメている者を遠い空から眺めている…
[次は君の番だよ]
そう言いながらずっと笑っている。
私は生きている。遠い空に本当の私が生きている。
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