ねぇ、笑って。

俺はお前に言わなきゃいけないことがある。


千鶴!

手術室のドアはしっかりとしまっていた。


まるで、俺と千鶴の間を断ち切るように。


「千鶴…千鶴…千鶴……。」


千鶴の姉貴は千鶴の名を、ぶつぶつと呟いている。



その顔は涙でぐちょぐちょだ。

それでも、拭おうともせずただ祈っている。



「千鶴…。」


俺はと言えば、現実感がないままボーッと立っているだけ。

涙も出てこない。


がたんっ。


「千鶴!?」

 
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