SEASONS
そう言って大野くんが持ち上げたのは、シュシュだった。


「……やっぱりそうだよね」

「よくわかんないけど、こっちは普段用であっちはよそ行き用って感じ」

「あはは、確かに。じゃあこっちにし……」


バレッタを戻してレジに向かおうとした時、手の中のシュシュを抜き取られた。


「大野くん?」

「プレゼントさせて」


「え? やっ、ダメだよ!」

「初デートの記念」



あたしの止める手をやんわりと押さえて、レジに行ってしまった。
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