いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
言った瞬間、久世玲人の顔がげっと歪んだ。

まぁ、予想はできたけど。


「ね?ね?」

押してしまえ、とキラキラ目を輝かせながら良い返事を期待していると、久世玲人がおかしそうに笑った。


「ダメっつっても行く気だな」

「あ、いや、久世君がどうしてもイヤならガマンするけど…」

たぶん、というか絶対、久世玲人はイヤなのだろう。

カフェなんてしゃれたところ行かなそうだしな。


諦め半分でカフェを見つめていると、久世玲人が「行くか」と足を進めた。


「え!?いいの!?」


「菜都が行きたいなら」


え。

やっぱり、今日の久世玲人は妙に優しいよ…。


「あ、ありがとう…」


聞こえないくらい小さな声でお礼を言いながら、久世玲人に付いて歩いた。

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