いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
涙を流す私を見て、久世玲人は再び怒りの表情に顔を歪ませた。

私を宥めようと優しい手つきで頭を撫でてくれるが、そんな行動とは裏腹に、久世玲人は鋭い視線を彼らに向けている。


「……てめぇら、ぶっ潰してやる…」


底冷えするような声は、背中に寒気が走るほど。


そんな物騒な台詞を吐きながら、久世玲人はヨロヨロとまだ力が入らない私を支えながら立ち上がった。


「菜都、保健室に行ってろ」

「で、でも…」

まだこの3人を相手するっていうの…?でも、いくら久世玲人でも1人じゃ…。

さすがに、やめたほうがいいよ…。


不安な気持ちで、ギュッと久世玲人の服を掴んだ。

久世玲人もそんな私の心情を察したようで、もう一度私の頭を撫でながら不敵に微笑んだ。

「大丈夫だ」

いくら私が不安がっても、自信に満ちた顔で返されるだけ。


もちろん彼らに対しては憎悪の気持ちしかないけど、平和主義の私にはここで「やっちゃえやっちゃえー」なんて応援する気になれない。

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