いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
もう一度、今度は腕をギュッと掴み、ふるふると首を横に振ると、久世玲人は困ったように私を見下ろしてきた。


「菜都はよくても、俺が我慢できない」

「でも…」

「菜都に手を出す奴は絶対許さねぇ」


うっ…。

サラリと吐かれたその頼もしい言葉に、ドキンと胸が疼く。


こんな状況だというのに、ときめいてどうする…。


でも、女心としてはとてもありがたいお言葉だけど、さすがに目の前で喧嘩する様子なんて見てられない。

腕を掴んだまま離せないでいる私に、久世玲人は優しく微笑みながら顔を寄せ、耳元で囁いた。


「すぐ迎えに行くから」


その言動に今度はボッと顔が赤くなるが、久世玲人はそんな私の様子に笑いながら頭をひと撫でした。

たまに出る久世玲人のこういう甘い行動に、全然慣れない…。



力が抜けてスルスルと手を離すと、久世玲人は彼らに向いた。

もう、いくら私が説得しようが、「やる気」なんだろう…。



一瞬で纏う空気を変えた久世玲人の鋭い視線を受けながら、彼らも挑戦的な笑みを返している。



「……無茶、しないで…」

そんな言葉しかかけることができず、彼らに向かって歩く久世玲人の後姿を見つめた。


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