いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
真剣な声でそう問われ、私も再びコクリと頷いた。

私の想いが伝わるように、ちゃんと目を見つめ返して。


「……マジ?やっぱりウソとか言わねえ?」

「う、うん…」

念押しするように聞いてくる久世玲人に、もう一度肯定の返事を返した。

すると、またさらに距離を詰められ、真っ直ぐ見つめられる。



「――――…もう一回言って」

「え?」


………もう一回?

パチクリと瞬いて見つめ返すと、やはり久世玲人は真剣な眼差しのまま。


「俺のこと好きなんだろ?じゃあ、もう一回言って」

「……なっ!」

そうだけどっ、そういうこと普通もう一回言わせるっ!?しかも、じゃあ、って何っ!?

ギョッと驚いているけど、久世玲人は譲らない様子。「早く」という眼差しで急かしてくる。


な、何でこんなことに…

うぅっ…言わされるなんて恥ずかしすぎるけど…勝てないのは分かっている…

それに、今さら誤魔化すことでもない…


意を決してもう一度口を開いた。


「……す、…好き……です…」

真っ赤な顔で弱々しく呟くと、久世玲人は私の手を掴み、グッと引き寄せた。


「もう一回」

「ええっ…!?」

「いいから、もう一回」

その顔は満足そうに微笑み、そして、私の全身を包み込むようにギュッと抱き締めてくる。



「……す、好き…」

「もう一回」

「好き…」

「……もう一回」

そうやって何度も「好き」を求められ、私も、まるで熱に浮かされたように何度も繰り返す。


そして、何度目かの「好き」のあと、気が付いたら私の口は久世玲人の唇によって塞がれ、その言葉は、キスに飲み込まれた。

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