いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
優しく、啄ばむようなキスを何度も繰り返され、脳天からドロドロと蕩けてしまいそうになる。

ぎゅーっと久世玲人のシャツを握り締めて必死に縋っていると、久世玲人もまた、抱き締める腕の力を強める。

い、意識を飛ばしそう…

されるがまま、そのキスを受けていると、久世玲人は唇を離し私を間近に見つめてきた。

熱いその眼差しに、体の力が奪われそうになる。


「菜都、口、開けて」

「く、ち…?」

なんで、と聞き返す前に、再び久世玲人は唇を重ねる。そして、どうしてか理解する前に舌を差し込まれた。


「んっ…!」

ガッチリと後頭部を支えられ、逃げる隙を与えられない。


深い、深い、キス。


い、いきなりこんなっ…!!

とんでもないキスにパニックを起こしそうになるけど、久世玲人には止める気配が感じられない。

角度を変えながら、深く深く、飽くことなく続けられる。

舌が絡まり、舐められ、その刺激が全身に伝わっているかのようにビクビクと震える。


まるで、食べられているかのようなキス。

そんな難易度の高いキスに対応できるはずもなく、ただただ久世玲人に身を任せているだけ。


く、苦しいっ…

呼吸もうまくできなくて、酸欠になりそうなところで、ようやくその唇が少し離された。


ゼェハァと息を乱す私を、久世玲人はおかしそうに笑う。


「菜都、顔真っ赤」

「…っ/////」


きっと、酸欠のせいではない。

何も言い返せないでいると、久世玲人はまた優しく笑い、ぺロリと唇を舐めてきた。


その瞬間何かが爆発し、顔から火が出る勢いで、かあぁっ!と顔が赤く染まった。

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