先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「亘理君も書いてるんでしょ、ベリーラブで」
「う……」
「編集部の人が教えてくれたの、それで読んだけど……あのお話、すっごく面白かった。続きが気になる位」


汚れた君の心の中にも届いたのか、あの話が持つ純粋さが。


金・地位でしか男を判断出来ない女だと思っていたのに、少し裏切れられたような気持ちになる。


「今、更新してないみたいだけど一体どうしたの? 」
「色々あるんだ」
「そう、でもちゃんと完結させてね。私、楽しみに待ってるから」


僕の作品と対極にある内容ばかりを書き続ける裕実から聞かされた言葉の意味が理解出来ず、グラスを手にすると一息にチェイサーを流し込む。


すると冷たい水が焼け爛れて痛む胸を駆け抜け、吐き気が治まるのを感じた。


「亘理君、行きましょう」
「三次会に? 」
「違う違う、デートよデート」


腕を取られて立ち上がり、夜の銀座へ出てみれば日曜の夜なので水商売の女性の姿は全く見られず、代わりに幸せそうな家族連れやカップルが華やかな空気を支配している。
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