先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
その問いかけに対し、暫く考え込んだ加瑚は人差し指をビシッと僕へ向けて口を開く。


「今の段階では無い、応募作品が多過ぎて、下読み(投稿作品を編集者やアルバイトで予め読む作業)は不可能に近いからな。だからと言ってこのまま放置して置けば、最悪受賞者ナシというケースも有り得るし、ますますケー小が悪者扱いされてその末に規模が縮小して行くのは間違いない。だが、今回の賞が終わったら、下読みの方法を考える」


新しい文化としての自由さが魅力だけれど、その自由の範囲が余りにも広過ぎてまだ出版業界では対応しきれていないように思えた。


読者任せのランキングというのも自由の1つ、でも、このままでは書き手側の努力が報われなさ過ぎる。


勿論、上位に居る作家が真剣に取り組んでいないと否定する訳ではないけれど、下位に居る作家が努力していない訳ではないと僕は身を以って体験しているから。


「僕もいい方法を考えます」
「一緒に頑張るか、ふむ」


一緒に頑張る、なんて素敵な言葉なのだろう。


そうウットリしていたら、すぐ側でムチが鳴る。


「亘理、この問題が後で考える事に決定した以上、早く更新をしろ! 」
「はっ、はいっ! 」
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