先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「あ……ん」
「嫌がってるフリしてケッコー感じてるんだろ? 」
「はぁっ」


なんて描写は全作品に共通して存在する始末。


もう、どうしていいか分からない。


僕の元彼女がこんないかがわしい小説ばかり書いているなんて、衝撃的過ぎて。


しかもそれが書籍化されて、本屋で売られているなんて。


そのショックをひきずったままただボーゼンとしていたら、電話の着信。


『おう! 神埼。プロット読ませて貰ったぞ、点数で言えば20点だな、でもまあお前が味付けすんなら少しはマシになるだろう、コレで書いてみろや』
「僕、それどころじゃなくて……」
『何ブルーになってんだよ、生意気だな』
「あの、凄く精神的に参ってるんです」


くどくどと言い訳をする僕に呆れた宮澤さんは、電話の向こうで絶叫した。


『テメェ! バイト終わるの何時だ? その頃に部屋に押しかけて、そのよわっちょろい精神をビシビシ叩きなおしてやろうか! 』
「ひぃっ! それだけはカンベンして下さい』
『カンベンだとぉ? このあたしがするワケねぇだろうが! ヴァーカ! 』


プチッ……ツーッツーッツーッ。
< 34 / 183 >

この作品をシェア

pagetop