先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
カワイイ王子と冷酷姫
たった2週間で書き上げたにしてはそれなりにいいデキの作品だった、そう思う。


宮澤さんが読んでいる間、絶滅寸前の天然記念物並みの笑顔を浮かべたり、鼻をすすったりしていたから。


「アンタ、やればデキんじゃん! 」


薄っすらと涙が光る目で携帯から顔を上げ、僕の肩をドンドン叩く。


「が、頑張りました」
「よし、じゃあ褒美を取らせてやる。今日の晩飯はオゴってやるから」
「有難き幸せです」


池袋の外れにある淀川書店の編集部から2人で外に出てみれば、もう夜の8時。


高速の高架下をそのまま池袋方面に直進し、サンシャイン通りへ入り、チェーン店の居酒屋に向かう。


僕としてはどこかのレストランで久しぶりに美味しい食事が食べたかったのに、宮澤さんは飲めればどこでもいいと。
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