芽吹く前に
「最近よく滑ってるの?」
「いや、夏前に来てからなんで、久しぶりっす。」
「俺も一年ぶりくらいかな。」
「なまってんじゃないですか?」
「そんなことねーだろ」
「みとけよ」
「はい」
ナイシさんはシューーーーっと滑り始めると、すぐにバランスを崩し体が後ろにのけ反ってすぐにボードから体が離れてしまった。
「あー駄目だっ」
「感覚が全然違う。なまったな・・・」
「駄目じゃないですかっ!」
ナイシさんはいつもお茶目で好きだった。
一年ぶりくらいにあっても、変わってなくてひさしぶりに遊べて、楽しかった。
「もう暗いな、帰ろうか?」
「はいっ!!」
「乗ってけよ!
えっ?いいんすか?」
「いつもは女しか乗せないんだけど、今日は特別だ。」
「女さっきいないって・・・?」
「いるわけねーだろ!俺だぞっ!」
「そんな力入れなくても・・・」
「よしいくぞぉ〜」
キュウルウルルルン、ン、ンガァァァルルルル
「ナイシさん、これうるさくないっすか?」
「バイクってのはこんなもんだ。」
「ナイシさん後ろの明かり、めちゃくちゃ光ってますよ。」
テールランプは赤く光ると思っていたが、バイクのテールランプからいくつかの光がクルクルと回転し点滅していた。
「おぉ〜綺麗だろ?」
「ハイっ!綺麗っす。」
近所の駅まで、渋滞をすり抜けていった。
ナイシさんは無理に、すり抜けていって怖かったけど、バイクの後ろは気持ちよかった。
時折後ろの赤く光らないテールランプを見つめ、その色に見とれたりもした。
ナイシさんが走っている途中ずっと変なリズムをとってふかしていた音が、布団に入っても頭の中で鳴り響いていた。
「ウンタァ、ウンタァ、ウン、タァー、タァー」
保育園で習った、カスタネットを叩くリズムを思いだし懐かしい気持ちのまま眠りについた。