芽吹く前に
次の日学校で、ノゾミにあったがとくに話すことは無かった。
意識だけが高まりすぎて、話すことができなくなっていた。
放課後になり、ケンタに話しかけた。

「ケンタ!今日暇?」

「暇だけど、どうしたの?」

チャリンコのハンドル直すの手伝ってくれない?

「良いよ!今日5時までだけど、大丈夫?」

「親父、うるさい?」

「うん、破ったら大変なことになる。」

そう笑ってケンタは言った。

「じゃあ、俺んち行こう!」

マコトの自転車はもとはママチャリであったが、ハンドルが中心に絞られていた。

「なんで、直しちゃうの?カッコいいよ~。」

そうケンタは言ったが、これから女の子と遊びに行くのである。
こんな変な自転車では行けないと、早く直さねばとマコトは考えたのである。
少しでも真面目風な感じを醸し出したいと、印象を良くしたいと考えたのである。

「いや、もう中3じゃん。大人にならないと、いつまでもガキみてぇな事で気ないじゃん?」

そうマコトが言うと、ケンタが嬉しそうに、「いつもガキみたいなこと言ってるのマコトだろ。これもめちゃくちゃ乗り気で絞ったのに。」

「過去は過去じゃん。俺は振り返らないんだよ。」

「なんか、おかしいよ。」

「いいんだよ。直すから押さえてて!」

「わかった。」

ケンタに押さえてもらうと、思い切り片方のハンドルをつかみ、手前に戻した。
そして逆側も同じように戻す。

「これで、大人仕様だな。」
マコトは満足げだった。

「おばちゃん乗るのと変わらないよ。」

「そうかな~、少し、ダサいかな?」

「思った通りで良いと・・・」
「なんか隠してるでしょ?」

「女子と遊びに行くから!」
もう言いたくて仕方がなかったので言ってしまった。

「マジでっ?俺もつれてって!」

「いや、2対2だから、今からは・・・」

「そうか・・・」
ケンタはこれまでにない、寂しそうな顔をしたが、それ以上聞いてくることは無かった。

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