私こそ光る☆君 ~番外編~
じろりと睨みつけると奴は諦めたように肩をすくめて去っていった。


「ぶ~っ」


そんな声が聞こえてきて後ろを振り返ると、不満げに頬を膨らませた奏の姿がある。


『奏、お兄ちゃんとおえかきしよう?』


「いやっ!!」


ぷいっ。


どうやら機嫌を損ねてしまったようだ。

拗ねた横顔も可愛いのだけど。




そんなこんなであっというまに家に帰る時間が来てしまった。


「お二人とも、今日もいい子にしていらっしゃいましたか?」


お迎えの時間ぴったりに現れた坂上の質問には誰も答えない。


あれ?

俺が答えないのは普段通りだけど、いつも奏は元気に頷くのに。


不思議に思って屈み込み、俯いた奏の顔をのぞくと、大きな目から次々と零れ落ちる雫が目に入った。


「どうしたんだ、奏!!

どこかいたいのか!?」


奏の涙に俺はかなり動揺した。

自分が見ていない間にどこかケガしてしまったのかと奏の膝や腕を確認するが、どこにもそれらしき痕は見つからない。



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