魔王家
三人はいつものようにティータイムの形で集まった。

「もえちゃん、勇者が来た時のことなんだけど……」

話を切り出したのはアーサンだった。

アーサンが『勇者』の単語を出したので、メイヤは内心驚く。
勇者の存在を匂わすような事は、二人の間では言わないようにと決めていたから。

「その事ならもえも考えていたぞ」

これにはメイヤとアーサンどちらも驚いた。
魔王も至って平然と言っている。

「勇者が来た時は、メイヤとアーサン両名で迎え討て」

「はい」

二人は声を揃えた。

返事はしたものの、魔王の言葉を理解出来ない。

魔王は勇者の存在に気づいているのか。

その勇者がアレンだと知っているのか。

知っていて自分らに勇者を迎え討てと言っているのか。

アレンであっても本当に迎え討ってよいのか。

積もる疑問は沢山あったが、下手な事を聞いて墓穴は掘れない。

マーサに操られての言葉でもなさそうであるし、二人は素直にその場は聞き入れた。

最後にメイヤが質問をした。

「魔王様、勇者が現れたら使命を全う出来ますか?」

少しの沈黙の後に、

「愚問じゃ」

肯定ととってよいのか分かぬ微妙な返事と共にティータイムは終わった。

今日は誰もお茶に手をつけていない。

せんべいにすらも。
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