魔王家
「何かあの男アーサンに似ておるな。差し詰め、あの女の子はメイヤか」

魔王は率直にそう思った。

「僕あんなに情けなくないよ」

アーサンはどこが似てるのかと憤慨している。

「あの男はもえの写真を何に使うのじゃ?アーサンなら分かるのではないか?」

似ていると思っている魔王は先ほどの『愚問』の意味を知りたい。

正直アーサンは分かっていた。

いや知っていた。

同業者だから。

言えるわけはなかったが。

アーサンが何も言わないので諦める魔王。

「そうですね魔王様。私もあの男にはあの女の子と同じようなことをしたかもしれません」

メイヤはあっさり似ていることを認めた。

メイヤのその言葉で魔王は『愚問』の意味が良からぬことだと気付く。

再び、魔王一行はエドとチャオを見ていた。

「チャオ、またエドをいじめてるのか?」

そこに露出の高い服装の女の子が一人現れた。

「船長、こいつはいじめられるのが好きネ」

「違うよチャオ」

エドは否定した。

「『ファムちゃんに』いじめられるのが好きなんだよ」

と思ったら、限定条件をつけただけの肯定だった。

それを聞いたファムは、気持ち悪いからとエドを足蹴にする。

エドの思うツボだった。

「そういえば船長、未攻略ダンジョンへの地図手に入れたネ」

「ほんとか!すぐ船に戻るぞ」

目を輝かせたファムとチャオは、色んな意味で悶えていたエドを引きずって船に戻った。

「すまぬ、アーサン。似ておるは失礼じゃったな」

魔王は一連の騒動を見て、自分の非を認めた。

「あいつはアーサンそのものじゃな」

メイヤが吹き出した。
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