魔王家
21歳
―ティータイム―

魔王とアーサン、メイヤはおやつを食べていた。

もちろん、せんべいを。

魔王が学生で学校にいる時以外は、この三人でのおやつの時間は欠かしたことはない。

「魔王様、最近お体に変化はありませんか?」

魔王は口にせんべいを加えながら、首を傾げた。

その仕草にアーサンは一人で心を打たれていた。

魔王は、『調子はどうですか』ではなく『変化はありませんか』とはどういうことなんだろう、と考えていた。

「特には何もないが。何じゃ、その質問」

メイヤはそれを聞くと、安心したような困ったような不思議な表情を浮かべ、返事をした。

「いえ、何でもないんですよ」

メイヤのこの質問の意味は、マーサのことを知りたいが為のものだった。

自分からいなくなったマーサは魔王の中で今何をしているのか、影響を及ぼしているのか。
メイヤは質問をすることで少しでも動揺なり、揺さぶりを魔王の中のマーサにかけたかったのだ。

「魔王になったら変身でも出来るようになるのか?」

魔王が勝手に深読みして目をキラキラさせ暴走している。

「もえちゃん変身出来るの!?」

一人乗っかってしまった。

「こういう場合を除き、いくら魔王様でも姿を変えたりは出来ません」

アーサンは例題のため、顔の形が変わっていた。
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