魔王家
―数日後―

アーサンが魔王を呼び出した。

「なんじゃ、アーサン」

魔王はまたアーサンが良からぬ事を企んでいると思っている。

「この間、メイヤが変な質問したでしょ?あれには理由があるんだ」

年に何回かしかしないアーサンの真剣な顔を見て、魔王も切り替えた。

「理由とは何じゃ」

「もえちゃん、自分の中にもう一人の存在がいる事を知ってる?」

アーサンは独断で話をしている。

「そのことならだいぶ前から気づいておるぞ」

アーサンは驚いた。

魔王自身が気づいている事は勿論、それを何の苦もなさそうに言った事に。

「そうなんだ。それじゃ話てもいいかな」

アーサンは、そのもう一人の存在がマーサであること、ある期間メイヤに乗り移り操っていたこと等を話した。

「なるほどのぉ、それで色々つじつまが合うな」

マーサの出入りで感情の変化が激しかったのだ、と魔王は今考えれば納得出来た。

「アーサン、今のもえをどう思う」

「いつも通りだと思うけど、どうしたの」

アーサンの言葉なら信用できると、魔王がある結論に辿りつく。

「アーサン、メイヤを呼んでまいれ。メイヤも入れて話をしよう」

返事をしたアーサンは、急いでメイヤを呼びに行った。
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