魔王家
「ことの始まりはやはり、歴史が動いた五百年前の初代魔王様と勇者の戦いまで遡ります」

魔王とアーサンはうんうん頷きながら聞いている。

「その戦いの前に初代魔王様は、仲間を作るため『悪』の心が強い人間を、持ち前のカリスマ性で多数集めました。神より授かった『支配する力』を使い、集めた人間を洗脳、そして当時初代様だけが持っていた『魔力』を分け与えました」

「はい」

魔王が手を上げた。

「メイヤ先生、その洗脳された人間の子孫が魔族なのじゃな」

「正解です。元は人間なのですから、変身等出来ないのですよ。魔王様とて例外ではありません」

なるほどと納得した魔王。

「その人間達の子孫は、初代魔王様の魔力の影響か、個々に生まれた時から、普通の人間とは違う何かが特出していました。体が大きくなる者、異常に犯罪を犯す者、魔法が使える者……普通の人間とは異なる者が集まり『魔族』と名乗るようになりました。これが我ら魔族の起こりです」

ちょっと堅苦しい話に魔王もアーサンも疲れ、真剣に聞いていたので、お茶も冷めていた。

人間と魔族は、基本的には共存している。

違うのは、その時代の魔王の性格で悪さをさせられるかさせられないかの違いだけ。

「今の話だと、もえが命令すれば世界中の魔族は何でもするのか?」

「はい」

魔王がそれを確認してティータイムは終わった。




修得:民族学
< 96 / 152 >

この作品をシェア

pagetop