傷、のちに愛
「…和葉」
優しく、私を呼ぶ声。
私はおそるおそる目を開いた。
「…よく俺を見て」
私の顔を見つめながら、頬をその指で撫でていく。
「愛のないものはセックスなんかじゃない。…和葉の初めての相手は、俺だから。よく俺を見て、受け止めて」
私は、涙をこらえて笑った。
――幸せで。
――幸せで。
今、この世で一番幸せなのは私なんじゃないかな。
「千秋さん。…たくさん愛して」
そう、心から言えた。
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