傷、のちに愛



“研究室で待ってる”

私は息を飲んだ。

絵美は興奮した口調で私を促す。

「和葉、早く行ってきな!」

「え、でも……」

今から授業なのに、そう言おうとしたら絵美の勢いに遮られた。

「チャンス逃しちゃだめだよ!行きたいんでしょう?こっちは心配しないで行ってきな!」


行きたいんでしょう?

…私は頷き、席を立った。

そのまま研究室に向かって走った。

会ってどうするとか、全く考えていない。

ただ会いたくて。
あの低い声を聞きたくて、無我夢中だった。




.
< 80 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop