爽やか王子と内気少女
それから、意外にも私の朗読は人に聞かれてたようで、クラスの子に褒められたり、応援されたりして、
いつもそんな事無かったから、凄くソワソワした気持ちになった。
梅雨が明ける頃には、放送を2回3回と重ねて、緊張も前よりだいぶましになった。
夏休みを間近に控えたある日……
「新垣さんって居ますか!?」
休み時間の教室に大きな声が響いた。
教室の入り口には、男子が一人立ってた。
黒い縁の眼鏡を掛けた黒髪の男の子…
暑さからか中途半端な長さの髪を後ろで縛っていた。
「あれ…江角じゃね?」
そんな囁きが近くから聞こえた。
「あの…新垣は私ですけど…」
弥生ちゃんの席に居た私は、軽く手を上げながら江角君という人を見た。