氷菓少年は天然少女にかなわない
「梨久ひどいじゃん!かわいい幼なじみ置いてくとかさ、電話くらいしてくれたらいいのに」

「絶対嫌」

「そんなに嫌!?」

「うん」



幼なじみであろうが容赦ない。むしろ、年を重ねるにつれ磨きがかかる一方である。春夜と一緒に来た俊哉が何事もなかったかのように、さらりと挨拶をした。



「おはよう。通学路でこのメンバーが揃うの初めてじゃないか?」



笑佳でさえもこの二人のやり取りに慣れてしまい、今ではもうお決まりの光景でありほとんど気にしない。



「そうかも!揃った記念に打ち上げしちゃう?」

「うわあ♪やりたいやりたい」

「オレはパス」



梨久を先頭に佐助、笑佳が小走りでついて行く。春夜と俊哉に関してはマイペースに歩いている、急ぐ気ゼロである。



「若いっていいねぇ」

「ああ、ほんとに」



その時、黄色い声が春夜の耳にしっかりと届き爽やかスマイルで手を振る。



「……お前も十分ホストで通用しそうだな」

「いやいや!君もでしょ!?」



俊哉のまさかの一言に春夜はぎょっとする。



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