乱華~羽をくれた君~【完】



「もぉ〜!いっつもそうなんだから!」


百合も広樹もお節介な奴らだ。


こんな面白くもない奴に、なんで構うんだ?


俺だったら放っておくけどな・・・




「あ!!!やべー母ちゃんに買い物頼まれてたんだわ!わりーけど先帰ってて!」


「まじか、わかった!ばいばーい」


「じゃあな」


広樹は俺たちに笑顔で手を振り、来た道を引き返して行った。



「・・・広樹、偉いね」


「ん?・・・あー」


「陸のお母さんはどんな人?」


「俺の・・?知んない」


「え?」


「俺今施設にいんの」


「施設!?」



百合が急に立ち止まった。



「児童養護施設ってとこ。親がいない子供が暮らすとこ」



「え…そーなんだ…」




いつも笑っている百合の顔から笑顔が消えた。



「ばーか。もう昔っからそこにいるし。全然悲しいことなんかじゃねーよ?むしろ楽しいし」



暗い顔をさせたくなくて、ふいに嘘をついた。

俺らしくもない。

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