乱華~羽をくれた君~【完】
どのくらい走ったんだろう。
ブラウスはしわくちゃでボタンが二つなくなっている。
ポケットの中から携帯を取り出し、栞に電話した。
携帯を持つ手が震える。
「・・・もしもし栞?」
『はいよーって・・どうしたの?なんか奈緒暗くない?』
やっぱり栞は感がいい。
「・・ちょっと親と喧嘩しちゃってさ・・今日帰りたくないんだ。
栞、今暇じゃない?」
『まじ!そういう事ならまかせて!
すぐ行くからぁ!!』
栞の声を聞いて少し安心した。
あたしは近くのベンチに座り、栞が来るのを待った。
家出・・といっても持ってきたのは鞄ひとつだけで、お金なんてあまり持っていない。
後悔はしていないけど、この先のことを考えると不安になる。
「奈緒ーー!」
栞は言葉通り、すぐに来てくれた。
「栞ぃー・・」
涙が溢れてくる。
栞の姿を見たとたん、緊張の糸がとけたのかな‥
「えっ奈緒?!」
あたしの泣き顔に少し驚いた様子だったけど、栞は何も言わずただぎゅっと抱きしめてくれた。
ほっとする。
こんな時、独りでなんかいられない。
栞が来てくれて良かった・・