未来観測
学校に着く

授業をする

たまった資料を片付ける


いつもと何も変わらない日。
でも心は妙な空虚感でいっぱいだった


そんな日に限って寛人とは
廊下ですら、すれ違わなくて。
何だかそういう運命なのかな、なんて気持ちにもなってしまう


そんなことをぼーっと廊下の窓越しに考えていると、突然後ろから大きな声が聞こえた。


「高岡先生!」


よく目をこらすと、遠くからあたしに一生懸命手をふっている林先生の姿が見える



「…林先生!
どうしたんですか?」


息を切らしながらあたしの方に走ってきた先生に
あたしは少しだけ笑いながらそう言った


「体調は?
もう平気ですか?」


「あぁ。はい。
たくさん寝たらすっかりよくなりました」


「本当ですか?
よかったー。
俺が無理矢理連れてったから…風邪でもひいちゃったらどうしようと思って」


「そんな心配しなくても大丈夫ですよ。
この通り。
もう元気いっぱいですから」


「何かあったら言って下さい。
俺が責任持って送っていきますんで」


正義感あふれる瞳。
あたしを見る真っ直ぐで純粋な瞳。


「・・・はい。
ありがとうございます」


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