未来観測
部屋に入ると一気に疲れが出て
化粧も落とさないまま、ベッドに倒れこんだ

今日はもう何も考えたくない


寛人のことも。
浅岡さんのことも。

自分のことも。


薄れゆく意識の中、何度も何度も携帯がけたたましく鳴るのが聞こえた

でも手を伸ばす気にはなれなくて
とうとうあたしは夢の中へと意識を手放したんだ





目覚めは最悪だった

何だか気味の悪い夢を見た気もするけど
それも確かじゃない


携帯に手を伸ばすと、そこには8件もの着信が表示されていて
そのどれもが寛人からのものだった

化粧をしながら、寛人の怒った表情を思い浮かべる


それでもあたしは。
ごめんね、なんてやっぱり思えなかった

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