未来観測
「やっぱり先生は何も分かってない」


あたしを貫くような瞳でそう呟く彼。


「寛人、離して…痛いって。」


半ば強引にその手を緩めると
今度は腕を掴まれ、強く引き寄せられた


何をされるのかはすぐに分かった。

だから抵抗はしなかった

それで彼の気が済むなら、その方がいいと思ったから。


抱きしめられキス。
寛人の濡れたシャツを通して、彼の体温を直に感じた

頭の中が痺れたように麻痺していく


寛人のするキスは
さっきまであんな風に怒っていたことを忘れさせるかのような、とても優しいキスだった


重ねた唇が熱を帯び始める






気がつくと身体が離れて
寛人が悲しい瞳であたしを見つめていた


「…寛人?」

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