未来観測
一瞬言われている意味が良く分からなかった


「・・・普通って?」


「てか初めから何にも思ってないのか。
そっか。

やっぱり俺だけか」


そう言って笑う彼に
胸の中が不安でいっぱいになった


「ちょっと待って。
一人で勝手に話し進めないでよ」



全くもって意味が分からない

何が初めからなの?
何が俺だけなの?



「もういい。
帰る」


勢いよく立ち上がった彼の腕を
すがるように掴んだ

濡れて冷え切った彼の体温に、身体がビクッと反応する



「ねぇ、寛人。
どうしたの?

何があったの?」


そう言った瞬間に手首をぐっと掴まれ
壁に押し付けられた

目の前にあるのは、険しい顔をした寛人の表情だけ。


「ひ・・・ろと」


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