未来観測
一瞬思考が止まった


セキヤヒロト??


「先生?」


「…え?」


「どうかしました?
何か名前聞いた瞬間固まっちゃったから…」


不思議そうにあたしを見る生徒の顔に、ふと我に戻った


「ううん。
これありがと。
あたし親御さんに電話かけてくるね。」


心臓がバクバクと音を鳴らす
本当は今すぐにでも病院に駆け付けたい気分だった


赤谷寛人ってあの赤谷君のことだよね?

自問自答を繰り返しても
出る答えは一つだけ。




親御さんに電話をして
明日の補習の準備をして
そうやっていつも通り身体は動くのに
心は固まったままで
行き着く先はいつでも彼のことだった




林先生から携帯に電話があったのは
もう空に明かりが消えた頃。


「生徒の方は軽い骨折ですみました。
大した怪我じゃなくて本当によかった。」


そう笑って言った先生の言葉に
安心からか涙が溢れそうになった


電話を切って
ふと目の前に置かれた手帳に目をやる


その中に挟まれた一枚の紙。

そっとその紙に手を伸ばすと
あたしは携帯に手に取った



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