未来観測
彼はあたしに迷惑をかけたくないなんて言っていたけれど。
あたしこそ
こんな形で彼を困らせたくはなかった


「…先生。
大丈夫?」


彼の優しい言葉が
更にあたしの涙腺を緩ませる


首を恐る恐る縦にふると
彼は少し安心したようなため息をつき
少しだけ躊躇しながらも
そっと包み込むようにあたしを抱きしめた


「…せんせー。
もしかして痩せた?
ちゃんと食えってあれだけ言ったのに」


少しだけあたしを抱きしめる腕に力が入る


「そんなんじゃすぐおっぱいなくなっちゃうよー」




……………!?!?




その言葉に過剰反応したあたしは
顔中を真っ赤にして
何とか彼の腕の中から抜け出そう画策した

でもその試みはすぐに失敗に終わる



だって。

目の前にはあれだけあたしが欲しかった
彼の太陽みたいな笑顔があったから



「先生、やっと俺のこと見てくれた」


そう言って
また笑うから





.
< 74 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop